このラコンはわりとポピュラーである。物語は美しかった顔が猿の顔に変わってしまい嘆き悲しむデウィ・アンジャニの場面から始まる。 その父、ブガワン・ゴトモの勧めで、彼女はニャントコの苦行をしていた。マディルド池(ニルモロの池と述べるダランもいる)でカエルのように水に入り、頭だけが水面から出ているのみである。数ヶ月の間、デウィ・アンジャニは水面を漂い口元を通る物だけを食べていた。 ある日バトロ・グルは地上の様子を視に、世界を回っている途中だった。彼がマディルド池を飛微ながら通過した時、その透明な池に浸る一人の女性の身体を見た。彼の欲望が沸き立った時、彼の精液が落ちるにいたり、タタマリンドの若葉の一枚に滴った。そのタマリンドの若葉は池の水面に落ちて浮かび、ちょうどデウィ・アンジャニの口元にあった。すぐさまアンジャニはそのタマリンドの若葉を食べた。(ジャワの社会ではタマリンドの若葉はsinomと呼ばれる) そうしてそのタマリンドの若葉は飲み込まれ、デウィ・アンジャニは妊娠を自覚した。すぐさま彼女はその原因となれる者を探した。その時彼女は上空を飛翔するバトロ・グルを見た。すぐさま彼女は妊娠した胎児に対する責任を求めた。バトロ・グルは責任のがれはしなかった。 誕生の時に、バトロ・グルはその純白の猿の姿の赤子の誕生を手助けするために、数人のビダダリを遣わした。さらにデウィ・アンジャニは美しさを回復し、カヤンガンで生きるよう計らわれた。 産まれた赤ん坊はアノマンと名付けられた。 カヤンガンにおいてバトロ・グルは赤ん坊のアノマンを養育した。バトロ・ナロドは彼を笑った。バトロ・グルは彼に近づき、藍の葉っぱを一枚ナロドの尻に貼付けた。その時ナロドの尻でそれは一匹の藍色の猿の赤ん坊に[変化した(menggelendot)]。その猿はアニロと名付けられた。聞いた神たちは皆で笑った。 笑われたと感じた故に、バトロ・グルはのちに神たちに彼らに各々、子供として一匹の猿を創ることを命じた。 |
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