このラコンでは、市民の中に押し入って暴虐を働くラクササに悩まされる、ウィロト王国のことが語られる。 ヌササルドゥラ王国の侵攻である。その海の彼方の国のラクササ王、プラブ・シンガルドゥラはウィロト国への侵略を目論んでいた。彼はその息子、コロ・シンガネバとコロ・シンゴ・シンゴ並びにパティ・コロ・パランバロンと各々のラクササ軍を派遣し、侵攻の後にはウィロトの王になろうとしていた。 その時、スマルとバゴンに伴われて、サプト・アルゴの苦行所のブガワン・マヌモヨソが苦行所周辺を巡視している最中であった。道中、彼らはヌササルドゥラのラクササ軍と遭遇した。戦いとなり、ヌササルドゥラ軍は敗退した。 一方、ブガワン・マヌモヨソの愛弟子は神秘の天啓を受けた。それはサプト・アルゴを覆った災厄はグヌン・ルタウ山の坂で育った一本のきゃらぼくの樹(dankel=pokok kayu)の力で平定されるであろうとのものだった。その話を聞いて、スマルはすぐさまグヌン・ルタウの坂に赴き、きゃらぼくの樹を持って来て、祈りを捧げると、へんてこな人間の姿となった。しかし、その身体からは良い芳香がただよっていた。その人間はガレンと名付けられ、スマルの子供として承認された。 それから間もなく、スウォロというガンダルウォの王が、妻と共にスマルに会いに来た。そして末の子供を育てて欲しいと預けていった。スマルはその子供を受け取り、名をスパトラからペトルに代えた。 スマル、ガレン、ペトルそしてバゴンに付き従われ、マヌモヨソとプトゥット・スパウォロはウィロトへ赴いた。ウィロト国でプトゥット・スパウォロは戦場へ向い、ヌササルドゥロ国軍の全てを打ち負かした。 |
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